双葉社web文芸マガジン[カラフル]

週末、死にたくなるあなたへ。(蝶々)

アルフォンス・ミュシャ 1897

第5回

 こんにちは。お正月は少しのんびりされましたか?
 本年も、まずはあなたが生きやすいように。
 気を楽に持ちつつ、励ましあいつつ、なんとかやっていきましょう。よろしくお願いいたします。

 さて、私はいま、アフリカはケニアの大地にて、この原稿を書いています。ジャンボ・ジャンボ!(アフリカの挨拶ね)。
(はぁ?)って呆れないでくださいね。締め切りと、今悩めるあなたのことは忘れていないので。
 しかし、2019年は、お正月から怒涛どとうのサファリ・ウォッチング!
 日の入り前に起きては、ほぼすっぴんにサファリ帽をかぶって、デニムかワークパンツ姿で、天井の開くワイルドなワゴンカーに乗り込む日々。そして、早朝と夕方、ケニア中の野生動物保護地域を回りつつ、野生のライオンやらチーターやら、キリンからインパラにハイエナまで(今日は何に会えるのかしら!)とドキドキワクワクしつつ観察しているのです。

 ――というのも、ここ半年くらいかしら。心身を病む人々の多さが象徴する<現代人の生命力の弱まり具合>が、やたらと気がかりになるにつれ…………まるで反動のように、ライオンをはじめとする野生動物たちの存在に心ひかれるようになって。暇を見つけては本を読んだりドキュメンタリーやビデオを見たりして、彼らの生態を垣間かいま見ては、驚いたり考えさせられたりしていたのです。それが高じて(あー、やっぱり本物を見ないと!)と、子連れで飛行機を乗り継いで、キリマンジャロを間近に望めるケニアまで来ている、というわけ。
 少しの期間でも、実際に雄大なアフリカの大地に立ち、同じ空気を吸いながら、野生動物の世界を、この身で感じたかったんです(そして子供にも、動物園の動物が、動物のすべてでスタンダードではないよ、と感じてもらいたかった)。

 もちろん、動物と私たち人間は決定的に違うはずだけど、やはり同じ地球生物。人間界にも共通項があったりして、知れば知るほど、なかなか面白いんですよ。
 たとえば、百獣の王、ライオン。
 プライドという群れをつくって生活する野生のライオンたちだけど、王と呼ばれる彼らでも、悠々自適とは程遠く、その人生はかなり過酷。生まれた子供たちが無事成人する率も、敵の動物による早めのライオンつぶしや予測のつかない自然環境の過酷さもあったりして、当然、私たち現代人には遠く及ばないそう。
 特におすたちは、たとえ成人できたとしても、同性間の競争もし烈で。常に戦いに勝った<その時最も強い雄>ただ一頭が、一つのプライド全部、つまりめすたちのハーレムと、それが生息するエリアを手に入れるそう(敗れた雄は殺されるか、群れから外れて一人生きていかなきゃいけない)。
「それって、男たちの会社の出世競争とも何だか似てるよね。。。」私もいろいろもの思うわけです。
 さらには、新しい雄がプライドに君臨したとき、最初にするのが、かの有名な“子殺し”で。前のボスだった雄の子である一歳以下の小さなライオンたちがプライドに存在する場合、なんと母ライオンたちの目の前で、むごいことに、一頭のこらず、新しい王によって、かみ殺されていくんです。
 つまり、<俺のじゃない>以前の雄の種は、まずすべて根絶やしに。さらには、母モードである雌ライオンたちを、既存の子を殺しつくすことで、すぐ繁殖はんしよくできる<俺仕様の生理状態>にもどしたい、というわけ。
 えげつないです。なすすべもなく、目の前でさっきまで可愛がっていたわが子を殺される雌たちの気持ちを思うと、動物とはいえ気の毒で気の毒で、胸が張り裂けそうになります。でも、急にしらけて、こうも思うわけです。「これって、最近イヤというほど目にする、内縁の夫やら新しい夫やらによる、前の夫の子供の虐待死とそっくりだな。あいつら鬼畜きちくであり動物のままか?」と。
 もちろん、人間は野生動物と違い、倫理も知性も習性も違う、と信じたい。でもでも、そういう原始の本能というものは、もしかしたら雄は雄である限り、どこかに潜んでいるのかも………。

 そろそろ、<だから、何なのよ!?>とイライラしている方もいらっしゃるかも。でもね、私は、動物たちの生態やあれこれを知るほど、自分を含めた今の人間たちの置かれている環境や生活の不自然さを思わずにいられない、ということ。
 慌ただしい日々の中、みな忘れがちだけど、私たち現代女性たちも、女である以上、やっぱり女の自然や生理、本能ってものがあるはずで。
(今、心身の不調で苦しんだり、ドツボに感じていたり悩んでいる人が多いのも…………もとをたどれば、女の自然にそむいた暮らしや生き方を、誰しも余儀なくされがちだからじゃないのかな)と。

 その証拠に(?)、もともと元気な私でも、たった1週間くらいアフリカ・サファリ生活をしているだけで、やたらイキイキ、なんだか底から生きる活力というか、「私も、私の人生を生ききらなくては!」という根源的なやる気のようなものが、ジワジワ湧いてくるのを感じるのです。ヘソのあたりから。まるで、いるだけでアフリカの大地のパワーに共鳴でもしているかのように。
 逆に、近年、都心に1,2日出張したり満員電車に乗るだけで(はぁ。どこを見ても不機嫌そうな人やスマホ見てる人ばかりで、なんだかめっちゃ疲れるな………この先、どうなっていくのだろう?)と、やたら厭世的えんせいてきになったり、なぜか元気が奪われるような気がする。

 アフリカの日々は、基本、野生動物の保護地域である、広大な国立公園の中にあるロッジのようなホテルに滞在しつつ、ケニア中を移動しているので。毎日、色鮮やかかつ匂いたつような緑や花々に囲まれ、虫や鳥やサルやリスも始終ロッジのあちこちに遊びにきているような自然の世界の中にあり、もちろん空気は最高においしい。
 自然、目覚めは日の出前。鳥たちのさえずる声と共に起き、日中は太陽を浴びまくりながら、無駄な肉のないスタイリッシュなまでに美しい、<広大な自然の中にある、飼われていない本物の生物>たちを見る。時には、自給自足生活が基本のマサイ族の村に見学へ行き、彼らと恐る恐る触れ合ったりさせてもらう。
 そして、夜は毎晩興奮なのか強烈な太陽疲れなのか、ベッドに入るなり、9時にはバタンと寝てしまう。
 こちらで日々いただく、太陽を浴びて自然に育ったであろう野菜や食べ物も、エネルギー満タンだし。何よりも野生動物たちが生息する広大なアフリカの大地や草原は、胸がすくほど壮大でのびのびしており……地球や生命の原本を感じさせてくれ、美しく、見てるこちらも生きる気満々、元気になる!

(むしろ、今の日本や先進国にいる方々のほうが、みんな心身病みがちなんじゃないの?)(便利や経済や文明の発達を手に入れ、何を失っている?)日を追うごとに、ふとした瞬間、祖国なう、について考えさせられてしまう始末。
 ――とはいえ、私もあなたと同様、日本で生まれ、今の日本でなるべく元気に生きて、かつ、これからを担う子供も育てていかなくてはならない身。はぁ、どうしたものかしら? とやっぱり思ってしまうよね。それくらい、アフリカ×野生動物の世界は、今私たちがある世界と真逆すぎて、気づかされることが多いです。

 まず第一に、<私たちは、いつのまにか動物園やオリの中にいないか?>ということ。そして、<本能や直観力、ひいては、生命力そのものをじわじわと去勢されているんじゃない?>ということ。
 もちろん、アフリカをはじめ、大自然あふれる国や暮らしを送る人々にも、貧しさだったり衛生環境や文明システムが整わないことによる困難や悩みや国レベルの問題も多々あるでしょう。また、私たちが今さら、アフリカの人々のような暮らしに戻れるわけもないのも、子供じゃあるまいし私だってわかってはいるんだけど。
 とまぁ、どうにもならないことを憂いていても仕方がないので、私自身が、<現代生活でも、生命力を失いすぎないよう、自分で工夫できること>として、ふだんから気をつけていることを、少し列挙してみますね。

① できるだけ、加工や農薬、添加物の付加されていない、新鮮な食物をバランスよく食べる。
(米と和食ベース。そして、シンプルでも、旬の素材の野菜や自分で調理したものをメインに摂り、基本的にコンビニで食品を買わない)
→これだけでも、体調は大変整いやすくなり、大きく体調を崩したり鬱々うつうつとした気分にはなりづらいです。

② スマホは持たない。寝室や外遊びにも持ち込まない。
(SNSやWi-Fiと常時接続できる環境下に自分を置かない)
→すでにEU諸国などでは、知的な階級の人々ほど、その危険性に気づき、スマホ離れ・携帯戻り(?)をしているそう。確かにフランスの知人も言ってました。
 私も仕事がらPCを省くわけにはいかないので。せめてプライベートはバランスをとって、なるべく、電話をしたり、メモをとったり、アナログ回路を使うようにしています。いつも外界やWEBの世界にスイッチONでは、脳も目も心も休まらないかなと思うので。

③ コーヒー、清涼飲料水、砂糖の入ったお菓子やパンなどは、控えめにする。
(外出時や付き合いがあるときくらいに、と決めておくと絶対量はだいぶ減ります)
→コーヒーなどのカフェインは、全身敏感になる妊婦の時に、たくさん飲むと貧血に直結することが実感されたので、摂取量を気にするように。私の産院の先生たちによると、体を冷やし鉄分の吸収をさまたげる作用があるそうで。また、摂り続けることで体内のミネラルやカルシウムを大量に奪う、と言われる砂糖を抜くのも超おすすめ。おやつに食事に清涼飲料水に、と無造作に摂り続けていた人ほど、抜けるのに時間がかかるかもしれないけれど、頭も体も心も、ものすごく軽くなると思います! 虫歯にもならなくなるし、歯茎も健康になりやすい、といいことづくめ。逆に、抜けた後は、たくさん摂ると血も心もべとついて重くなるのがわかり、気持ち悪くなるので自然とムダに摂りたくなくなる。

④ 豆類や肉、魚などのたんぱく質もしっかりとる。
(女性が気にしがちな、野菜やビタミン類だけではなく)
→じつは、太りにくく疲れにくいカラダづくりに、有効度が高いと感じます。

⑤ 散歩やサイクリングなどをまめにして、常に自然や外界を感じながら暮らす。
(近所の公園や神社へのお散歩だったり、週末はアウトドアでなるべく体を動かすようにしたり)
→家でゴロゴロしているより、やっぱりリフレッシュしやすいです。

⑥ 人とよく話す。
(家族はもちろん、仕事相手からママ友から管理人のおじさんから、よく買い物に行くお店の店主や店員さんとも)
→様々な立場や年代の方とよく話すのって、一番面白いし、人生や生きることへの大きな学びや刺激になります!

⑦ せっかく会っているのに、会話よりスマホに夢中の人と距離を置いてみる。
(男性も、もちろん。10年以上前から、私はデート中や寝室でも、スマホとかモバイルが手放せない男はともかくナシ! じつはできない男、とふんでます)
→朱に交われば赤くなる、と言いますが、スマホに交わりすぎてロボになる、みたいな人が、子供から大人まで本当に増えてますよね。あなたもよく見かけませんか? 通勤時はもちろんのこと、デート中でも家族との外食中でも、一緒にいるのにお互い無言でスマホを見続ける人々。そういう人と時間を過ごしていると、それこそ直観力や感性が鈍ってしまう気がして、私は親しくはならないな。

 ――とまぁ、挙げていけばいくらでもありそうですが、その人の年代や時期によらず参考にしてもらえそうな大まかな基本線は、この辺かな。
 <人間は動物と違う>と言いつつも、やっぱり私たちも、肉体も生理もある生物なので。現実的に、体の快・不快だったり、健康状態って、精神にもすごく直結していると思うんだよね。
 押しても引いてもどうにもならない(ように思える)悩みだったり憂鬱ゆううつがあったとき、そのことと直接関係ないようでも、まず、<自分が、生物として、日々心地よいコンディションでいられること>を気にしたりケアしてみるのは、じつは重要なこと。
 だって、心も体もまいっていて、気力がわいてこなければ、人間、建設的なことや判断が、しづらいと思うので。

 <生命力の欠如>と関係あるかわからないけれど、私は数年前の夏、イタリアから日本に遊びにきた友人を連れて、生まれて初めて秋葉原に出かけ、本当にびっくり腰を抜かしそうになったことがあったんです。交差点を、ヘッドホンをつけていたりスマホを見て何か操作しつつの若い人々が、まるでボウフラのように(ごめんそう見えた)ゆら~っと、会話もなく無表情に大群で歩いている光景を目にして。若いのに、なんて存在感が薄いのだろう…………リアルや肉体感覚が薄く、ゲームやネットの世界に半分身を突っ込んで生き続けているから? と衝撃を受けたんです。
 もう、それはそれで、この現代に対応した、そういう種族が生まれているんだろうな、日本に限らず世界中の先進国で、という話で、その場はなんとなくまとめたのですが、その後もあの光景は、いまだ忘れられないほど、私にはインパクトある光景だった。
 その後も、食べることにも旅行にも恋愛にも仕事にも、何にも興味がわかないというような若い人々が増えている、というニュースなどを聞いたり、実際に公私でそのような人々に出会うたび、(でもさ、コンビニ食や外食減らして、普通のごはん食べて、お日様浴びて、カラダ動かして、電磁波抜いたら、若いんだし、だいぶ、元気も生命力もやる気もよみがえると思うよ?)と思ってしまう私。
 一見流行っぽくしていたり小ぎれいにはしているのに、肌や背中にニキビつくっていたり、内臓からにおうような口臭があるような女性も、すごく増えているな………と街中のあちこちで感じるのですが、それも体質ではなく、単なる生活習慣病のひとつじゃないかなぁ。。ちょうど最近、知り合いが、野生のイノシシの肉をもらって鍋にしてみたけれど、ふだん食べている肉と違ってまったく臭みがなく締まりがあり美味しいのに驚いた! と連絡をくれたのですが、それ、私もすごくよくわかる。動物園と違って、アフリカの動物は匂わないし筋肉質だね……というのは、こちらで全員が口を揃えている話。

 私たち女性だって、意識や暮らし方を変えたら、若い人ほどすぐスッキリ爽やかに変われるはず。銀座や青山の美容師さんたちも、「最近は、若いうちから白髪しらがで悩む人がすごく多い。時には20代でも!」と首をかしげているけれど、私にはそれも似たような原因から、のように感じていて。
 そんな風に、自ら、生命力が弱まるような暮らしに流れてしまっていて、「やる気が出ない、なんか死にたくなる」と言う前に。
 まず自分の日々から、やれること、変えられることは、私たち現代人には本当にいっぱいあると思うんです。しっかり実のあるものを食べるとか、疲れたら休むとか、すごく当たり前のことを、おろそかにしない。

 人と比べてどうだとか、ああだとか、周りやSNSを見て、これ以上落ちこんでいないで(時間と体力のムダ)。まず、自分自身の生命力に着目し、少しずつ、それを上げる努力をしてみるのはどうでしょう?
 私は、人間やってればやってるほど、能力や特徴などの細かな違いは、<それぞれの人生を生きる>という大意からすれば、本当にどうでもいいことだ、大差ない、と思うんです。みんないいところもあれば、不得手ふえてなこともあり、ライオンのような狩猟型の人間もいれば、インパラやキリンのように草食系の人もいるでしょう?
 大事なのは、その人が、その人らしく、その人の季節を十分に生きられていること、じゃないかしら。若く、すべてに煩悶はんもんしたりぶつかりがちな大人準備期間だったり、活動期だったり繁殖期だったり、成熟期だったり老年期だったり………そのすべてに意味があり、生きがいのあること。そのためにも、生きる気力や生命力のあるなしって、本当に大切なこと。あなたはどうですか? 大丈夫?

 2019年は、これまで死にたくなってたのがウソみたい! 何だったのアレ?ってくらいに、生命力がみずから湧き出る一年にしていきません? まずは、日々食べるものと生活を、できる範囲から、あまり不自然ではなく、自然のリズムに沿ったかんじで、少しずつ調ととのえることから! これ、地味ながら着実に効く☆と思います。私も頑張るね。
(第6回へつづく)

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蝶々Chocho

作家・エッセイスト。コピーライター兼銀座ホステス時代に綴っていたブログが人気を呼び、2002年『銀座小悪魔日記』(宙出版)でデビュー。『小悪魔な女になる方法』(大和出版)がベストセラーとなり、幅広い世代の女性から絶大な支持を得る。単なるモテ指南とは一線を画した、真に幸福で自由な人生を送るためのテクニックを、聖俗両面から愛をもって発信中。著書多数。
公式ブログ;chochoママしぼり
http://blog.goo.ne.jp/chochochan
会員サイト;chocho女神クラブ
https://chocho-u.com/megamiclub2018

 

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