双葉社web文芸マガジン[カラフル]

無心セラピー(辛酸なめ子)

第42回 CBDでチルアウト 後半

 思いが強かったのか、CBDを引き寄せる日々。思わぬところで発見したのは「癒しフェア」の一角。CBD製品の小さいブースがあって、そこだけあまりスピ系ではない感じの若い男性が集っていて「このブースだけ楽しみにしてきました!」などと言っているのが聞こえました。「チルアウトできますよ。合法です」とお店の人談。つい6000円くらいのCBDバームを購入。
 麻布十番 納涼まつりでも、裏道を歩いていたらおしゃれな若者がCBDのプチ屋台を展開。今まで見たことがないメーカーのものばかりで「アメリカで直接買い付けてきました」とのことでした。「日本で売られているCBD入りの商品はだいたい10%以下だったりしますが、ここで売っているのは60%とかありますよ」という話で、キマりそう……と言ってはなんですが効きが良さそうです。この裏麻布のお店はカフェもやっていてCBDをいろいろ試せるそうで後日訪れることを決意。
 そして一ヶ月後くらいにCBDに興味があるという女子と一緒にカフェを訪問。観葉植物やツタが生い茂って、エコフレンドリーなことが伝わる外観のおしゃれなカフェ。いろいろ経験値が高そうなイケメンの店員さんがCBDについて教えてくれました。大麻の品種は大きく「サティバ」「インディカ」「ハイブリット」にわかれるそうです。サティバはCBDの含有量が多く、まったりした中にも高揚感が得られます。THCではないので基本的にハイにはなりません。インディカは鎮静効果があるとされ、チルアウトできます。ハイブリットはそれぞれの特徴を併せ持った種のようです。
 メニューのドリンクにCBDオイルをドロップしてもらったり、カウンターにあるCBDリキッドの電子タバコを試せたりするそうです。ひとりだと緊張するシチュエーションなので、同行者がいて良かったです。その後どこで調べたのか外国人のお客さんもやって来て、店員さんは流暢な英語で対応していました。さすがです。しかし素人としては初吸引を前に不安も……。
「アメリカでは電子タバコの健康被害などが出てトランプ大統領がフレーバー付きの電子タバコを禁止するそうですが……」
「アメリカはそのへんまだ法律がぐちゃぐちゃしてるので……。でも僕は喘息だったのですがCBDを吸いはじめてからほとんど症状が出なくなりました。不眠症にも効くそうです。身体の調節機能に働きかけます」
「そうですか、ではぜひ試させてください」
40代からの電子タバコ。しかりし慣れていないのと怖いのとで、肺まで煙を吸い込めません。ブルーベリーフレイバーは甘い感じで、グリーンクラックという名前も上級者っぽい味は草の香りが鼻に抜けます。結構おいしいかもしれません。ただ電子タバコのカートリッジは一本7000円以上して、4日で一本吸い切る人もいるとか……。そこまでハマりすぎるのも危険です。結局実際のドラッグ並の出費に……。
 直輸入された含有量の多いCBDオイルを紅茶にドロップしてもらいました。飲んだら電子タバコとの相乗効果で多幸感がわいてきました。「目がキラキラしてます」と言われて、表情にも変化があったようです。瞳孔が開いたとかじゃないと良いのですが……。
 カフェを出てからも数時間、多幸感が続き、笑いがひとりでに出てきたりして、道を歩いていて不気味に思われたかもしれません。そして、ほどよくチルアウト。あとは音楽を聴いていて主旋律以外の音、ドラムとかベースが際立って聞こえてきた感がありました。しばらくすると、ふだんより感情的になって、ニュースで「今は咀嚼音のASMRがブーム」というのが流れてきたのを見て、世も末だと本気で怒りを感じたり。これもCBDで心がオープンになった効果なのでしょうか……。ちなみに同行した女子は、その後、一人で笑ったり、と思うと急に悲しくなったりしたそうです。さらに露出狂に追いかけられ、ラリッたパリピに腕を掴まれたりしたそうで、CBDと関係あるのかわかりませんが、大麻の波動が引き寄せたのかもしれない、と心配していました。
 濃度が高いCBDはやはり素人向けではなかったかもしれません。今は含有量が少なめのCBDを摂取し、ゆるやかにチルアウトし、幸せ感に浸っています。最先端でおしゃれなことをしている、という気分に酔いしれているのかもしれませんが……。
(第43回へつづく)

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辛酸 なめ子Nameko Shinsan

東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。芸能界やスピリチュアル、オカルトなど多数のジャンルを独特な目線で描き人気を博す。『辛酸なめ子の現代社会学』『大人のコミュケーション術』『おしゃ修行』『魂活道場』など著書多数。

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