双葉社web文芸マガジン[カラフル]

無心セラピー(辛酸なめ子)

第41回 CBDでチルアウト 前半

 何年か前に代々木公園のアースデイに行った時、夕方でもう終わりかけだったのですが、妙な緊迫感が漂っているのを感じました。見ると会場内を警官が5、6人会場を練り歩き、独特なこなれ感のある人に次々声をかけ、職質しまくっていました。ブラックライトで財布の中を照らしたり、念入りに。結局何も持ってなくて憮然とする人々。そんな中警察に対してやたらフレンドリーなサイケファッションの男性がいて一抹の怪しさを感じていたのですが……あとでその男性は仲間と合流し、さきほどの職質話からドラッグ話で盛り上がっていました。「乾燥したのやった」「あれよかったよね」「音が色で見える」とか……。お巡りさ~ん、と心の中で呼びかけたのですがもう立ち去ったあとでした……。
 ちなみに周りの人が職質されまくっている中でも私は全く声をかけられず……。やってない感が出ていたのでしょうか。それはそれでちょっと寂しいです。人畜無害な小市民に見えたということでしょうか。もちろん実際にドラッグ関係に手を出したことは全くありません。美大の同級生が、手を出していた話を卒業して20年後に聞いてショックを受けました。素朴でがんばり屋さんに見えた女子が……。ちなみにその界隈で大麻をやっていた男子は「ガンジャマン」と呼ばれていたとか。全然知りませんでした。
 薬物と無縁な人生を送ってきましたが、心のどこかでは興味もありました。万一違法薬物に手を出したら社会人生命も終わるし、周りの人にも迷惑がかかってしまいます。脱法ドラッグは品質が悪そうで、手を出すのははばかられます。
 そんな折、一年ほど前から話題にのぼるようになったのはCBDオイルです。大麻の成分のうちTHC(テトラヒドロカンナビノール)には精神活性作用があるので、違法となっています。ダメ、ゼッタイ。です。CBD(カンナジビオール)にはそのような作用がなく、日本でも合法です。しかもCBDには健康にもさまざまな効果があるとか。安眠や鎮痛、ストレスや不安の軽減、炎症の軽減など。コスメキッチンのビープルという店舗にはわりと早い段階でCBD入りの商品が売られていました。パンフには「飲むマインドフルネス」と表現されていて、身体を調整する機能が高まり、リラックスできるようです。また、商品のリーフレットには「嫌なことがあってモヤモヤするときに」「ゆったり心を落ち着けたい夜に」「シャキッとしたいときに」「仕事後のリフレッシュに」「頭をスッキリさせたいときに」「心配で気分を切り替えたいときに」と、やや抽象的ながらも、働く女性にとって魅力的な文言が並んでいました。
 LA在住の知人に聞いたら、「CBDはこっちでも流行ってますよ。リラックスできる。私もたまに買ってます。こっちにはチョコにCBDが入ったお菓子とかあります。ただ夫が言っていたのですがアメリカはまだ規制がちゃんとしていないから、不衛生なところで作っているケースもあって、ばい菌が入っているかもしれないって」とのことでした。CBDチョコは魅力的ですがまだ日本には入っていないようです。ばい菌入りは避けたいですがパッケージや表示などから判断するしかないのでしょうか。
 CBD意識が高まった私は時々CBD入りのバームやオイルを購入。体に塗ったりしていました。たしかに塗ったあとはちょっとリラックスできる気がします。ただ、買ったもののCBD含有量が少なめだからか、他のアロマオイルとかとそんなにリラックス効果が変わらないような気も……。だんだんもっと濃度が濃いCBDを試したくなってきました。
 
(第42回へつづく)

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辛酸 なめ子Nameko Shinsan

東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。芸能界やスピリチュアル、オカルトなど多数のジャンルを独特な目線で描き人気を博す。『辛酸なめ子の現代社会学』『大人のコミュケーション術』『おしゃ修行』『魂活道場』など著書多数。

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