双葉社web文芸マガジン[カラフル]

無心セラピー(辛酸なめ子)

第31回 香りで心を整える 前半

 香りというのは脳に0.15秒で届くそうで、心身に与える影響も少なくありません。すごい悪臭をかいでしまった時は、しばらく精神的にも殺伐としてしまいます。とくに自尊心が失われるのは生乾きの細菌まじりの臭い。自分がその臭いを放っている時などは運気が低下しているのを実感します。おならは香水にも使われるスカトールが含まれているのでそんなに悪い感じはしないのですが……。時々都会で臭う排水の化学性物質を含んだ、臭いも相当エグくて一回かぐとしばらく忘れられません。
 など、悪い例から出してしまいましたが、香りは脳の大脳辺縁系に直接作用し、嗅覚は敏感なので、即座に心身に影響を及ぼします。「アロマセラピーのすべてがわかる本」(小野江里子著)によると、アロマセラピーには「体に対する働き」(抗ウィルス作用や鎮痛作用、自律神経調整など)、「肌に対する働き」(しわ、くすみ、リフトアップなど)、「心に対する働き」(セロトニンやドーパミンを分泌し、前向きになったり落ち着くなどの効果が)の3つがあるそうです。
 以前、アロマセラピーを取り入れたコスメブランド、coloursのラボで、耳たぶのセンサーからストレス度などをチェックして、必要なアロマを調合したことがありました。交感神経がやや優位で自律神経が乱れ気味だとのことで、幸福度が高まるオキシトシンをサポートする、ネロリやローズ、イランイランなどのアロマと、自律神経を整えるクラリセージなどを薦められました。
 調合は化学実験のようで、無水エタノールを入れたビーカーにベースの香りと、さらに加えたい香りをスポイトなどで入れていきます。華やかなローズの香り、神様の汗のような香りのプチグレイン、どこかなつかしいサンダルウッド、瞑想が進みそうなセージ、甘い香りのネロリなど、それぞれ特色があります。かいだ瞬間脳が明るくなった感じがしたネロリとローズとプチグレインを混ぜてみました。調合した香りは、リードディフューザー(アロマオイルが入った瓶に刺さった木の棒を通じて香りが拡散)でしばらく部屋に設置し、良い香りが部屋に充満している間は気分も高揚し、ポジティブでいられました。これ意外にもいろいろアロマを買ってみたら、私の場合、花よりも木の香りが落ち着くことに気付きました。シダーウッドやサンダルウッドなど。すっと伸びる木のように、自分の軸がしっかり立ってブレなくなるイメージです。
 前出のアロマテラピーの本には、心を安定させる香りとして、セロトニンを分泌して精神を安定させるカモミール・ローマン、ラベンダー、ネロリ、マージョラムなどが挙げられていました。落ち込んでいる時は、ドーパミンを分泌させて幸福感を与えるクラリセージ、グレープフルーツ、ジャスミン、ローズなどがおすすめだそうです。無気力だったり不安な時は、ノルアドレナリンで鼓舞するカルダモン、ジュニパー、レモングラス、ローズマリーなど、それぞれ植物たちが必要な用途でサポートしてくれます。
 つねづね不思議だったのは、アロマセラピーだったりフラワーエッセンスだったり植物で癒す療法をしている人はどうやってその効果を知ったのでしょうか? 現代なら科学的に成分を調べられそうですが、昔から確立されている薬効がどこから知識が来たのか不思議です。中世ドイツのカリスマ修道女、ヒルデガルトは様々なハーブや天然石の効果について詳しく、アロマ的にはラベンダーの蒸留水を発明したという説がある方ですが、「私は無学な人間で、外の世界の事柄について少しも学んだことはありませんが、私の魂の内側に通じているものから教えられました」と語っています。
 また、先日、日本の各地のパワースポットから採取したエネルギーと、エッセンシャルオイルを合わせた「Blessings of Gaia Spray」という素敵な商品を教えてもらったのですが、その時聞いたのが、プロデュースしたタンマヤさんという方が「植物の方から、こういう効果があるとか、人々のためにこうしてほしいと伝えてきます」と言っていたという話。木々や草花は、私たち人間を助けてくれようとしているのです。ありがたくアロマを吸い込んでいきたいです。
 
(第32回へつづく)

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辛酸 なめ子Nameko Shinsan

東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。芸能界やスピリチュアル、オカルトなど多数のジャンルを独特な目線で描き人気を博す。『辛酸なめ子の現代社会学』『大人のコミュケーション術』『おしゃ修行』『魂活道場』など著書多数。

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