双葉社web文芸マガジン[カラフル]

無心セラピー(辛酸なめ子)

第17回 ヒマラヤの瞑想 前半

 心を整えて、無心になる方法といえば、やはり瞑想がベストなのではないでしょうか。2010年頃から朝晩の瞑想をはじめて、まず実感したのは集中力が高まり、仕事の絵柄が丁寧になったこと。以前は自覚しないまま、荒れたタッチの絵を描いてたのが、瞑想後は自然に整ってきた気がします。(それ以前にお見苦しい作品をお見せしてすみません……)ちなみに瞑想の効果は科学の分野でも解明されつつあり、以前読んだ「日経サイエンス2015年1月号」の瞑想特集には、瞑想によって脳の一部領域の大きさが変わるという研究結果が掲載。リラックスし、雑念を流していく高度なマインドフルネス瞑想によって、痛みや不安、うつ状態が改善されたりするそうです。瞑想を続けることで脳の前頭葉が大きくなるそうで、直感力も高まることでしょう。反対に不安処理に関する扁桃体の体積は減少するらしいです。最近脳波を測ったら、リラックスして集中している状態のミッドアルファ波と、無念無想状態で現れるという7.8Hzの脳波が結構出ていることが判明しました。凡人なので完全に雑念を消すことは難しいですが、少しずつ無念の時間を増やしていきたいです。
 瞑想を安全に進めるためには、グル=先生が必要だそうです。私がお世話になっているのはヨグマタ(宇宙の母という意味の尊称)相川圭子先生。ヒマラヤの高度5000メートルの秘境で修行され、梵我一如(宇宙と一体になる)の悟りの境地に至りました。密閉された空間で生命活動を3~4日止めて蘇る、サマディという奇跡的な行もされています。映像で拝見しましたが、足がしびれるのを心配する以前の、上からも土をかぶせて蓋までして酸素もほとんど無くなりそうな空間です。手ぶらで入られ、蓮華座を組み、そのまま4日間ほどキープ。決められた日になると、目覚められ、ご自分でハシゴを上がってすっきりと生き返ったような表情をされているのも驚きです。足のしびれは……? なんて素人っぽいことは聞けません。とにかくこの世の常識では計り知れないことがあるのです。インドの聖者の祭りでは何万人ものインド人が列をなしてひと目でも会いたいと訪れる、行列ができる女性です。国連で平和についてスピーチされたり、インドのモディ首相と面会したりとグローバルにも活躍されています。ヨガを極め国連でスピーチなんて、意識高い女性のあこがれを体現していますが、常に自然体なのが素敵です。
 その、瞑想の師である相川先生は、時々都内でも講演会を行われています。先日は「癒やしフェア」で行われた講演会に参りました。広いホールに多くの人が集まり、いつものように何も用意されずに滔々と語られる相川先生。
「宇宙にはいろいろな素材があって、地球は金やダイヤモンドを作る力があります。私達が宝石のようになれるのがヒマラヤの恩恵です」
「無限のパワー、無限の知恵、そういうところにつながらないと自分の心やカルマにコントロールされてしまいます」
「何もとらわれない時、あるがままの自分、本当の自分が現れてくる。今にとどまるのが瞑想。源から存在をいただき生かされているんです。そういうのを忘れて目先のことに忙しいんです」
「心は原因結果、原因結果と連綿につながってる。高次元ののエネルギーを照射するとぱっと離れる」
などと、流れるように出てくるメッセージに癒されます。体も軽くなってきます。そして
「私は究極には石鹸を使わないんで。自浄作用っていうか、愛を出していくと汚れない体になるんです。石鹸会社に悪いけど」
というエピソードには驚きました。瞑想はアンチエイジングにもなるそうですが、相川先生のお姿を見てもそれは明らかです。
 先日『ヤマ・ニヤマ』という、瞑想者が心を整えるために何を控え、何を心がけたら良いかという本を出版されていました。その本も相当波動が高いですが、癒しフェア会場で配られていた「ヤマニヤマ度チェック」という自分の魂のレベルを判定するリストもかなりレベルが高かったです。
 「ニヤマ(勧める戒め)」のチェックリストの
 「自分に与えられた境遇の中でもやるべきことを逃げずに楽しみながら一生懸命仕事や勉強をしている」
「瞑想をやり、精神統一をし続けている」
「自分の中の、本当の自分に気づくために自己の探求をしている」
「あなたの中にある真の自己、大いなる源の存在を尊敬している。信じている」
など、魂レベルの高い人でないと「できている」と答えられません……。私は優等生モードで解答したら「あなたは良いカルマを積んできました」という結果になりました。自分でそう思い込んでいるおごりの気持ちが危険な気がしますが……。講演会で高次元ヴァイブスを浴びても、数日後は電車で押されたとか、列に割り込みされたとか小さなことで苛立っている自分が。定期的に聖者にお目にかからないと良い精神状態を保てない、聖者依存症なのかもしれません……。
 
(第17回へつづく)

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辛酸 なめ子Nameko Shinsan

東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。芸能界やスピリチュアル、オカルトなど多数のジャンルを独特な目線で描き人気を博す。『辛酸なめ子の現代社会学』『大人のコミュケーション術』『おしゃ修行』『魂活道場』など著書多数。

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