双葉社web文芸マガジン[カラフル]

無心セラピー(辛酸なめ子)

第13回 縄文マインドで穏やかになる 前半

「結局縄文時代が一番いいっていうことですよね」
 ヨガとかスピリチュアル系の人と会話していると、たまにこんな結論に至ります。世知辛い世の中、つい縄文時代に逃避したくなります。勝手に近代の人が「縄文時代」と名付けているだけですが、今から約1万5000年前から2400年まで1万年以上も続いた、比較的平和な時代です。暴力による死亡率は1.8%と低かった、という研究結果もあるようです。(他の時代の5分の1以下)
 それが弥生人が踏み込んできてから武器が作られ、稲作によってテリトリー意識や貧富の差が生まれてしまいました。発見された弥生人の骨には殺されたり傷つけられたあとが残っています。仕事で九州に行った時、近くの遺跡を案内してもらったのですが、行ってみたら弥生時代の遺跡でテンションが下がった思い出が。弥生式土器はデザインが現代のクールJAPANに通じるようなシンプルなデザインで洗練されていますが、やはり火焔型土器のエモーショナルなデザインに心惹かれます。
 なぜこんな縄文時代に引き寄せられるのでしょう。以前、アメリカの遺伝子検査キットで調べたら、私のミトコンドリアDNAのハプログループはM7c系統と出ました。M7cで検索したら「南方縄文系」というジャンルで、浦和で発掘された「埼玉県浦和1号縄文人骨」のDNAの系統と同じだということが判明。浦和出身なのですが、ご先祖様に導かれたような縁を感じました。いずれにせよ、縄文遺伝子を持っていることはまちがいないです。ちなみに縄文人には、犬歯を抜くという風習があるのですが、生まれつき犬歯がないのも縄文先祖返りかもしれません。もちろんそれから長い年月の間、先祖に弥生人の血も混じっていると思われますが、始祖である縄文人に対しては思い入れがあります。
 上野の東京国立博物館で開催された特別展「縄文―一万年の美の鼓動」も二回訪れました。縄文時代についての本「知られざる縄文ライフ」(譽田亜紀子著)も参考に、縄文時代に心の平穏があった由縁について、想像を交えて書いてみます。
 
・男女の間にリスペクトがあった
 土偶「縄文のビーナス」、土偶「仮面の女神」など、母性や女体の神秘性を表現した土偶がある反面、「石棒」という男性器を模した立派な棒も遺っています。それぞれの違った肉体に対して、崇敬の思いがあったのではないでしょうか。単に性の対象とするのではなく崇めていたかのようです。性を貶めるとかはけ口にする、という発想は感じられません。

・皆が豊かで心に余裕があった
 自然の恵みを享受していた縄文人。クリやドングリなどの木の実やキノコを採り、イノシシ、シカを狩ったり、漁で魚を獲って食料にしていました。自然が全てを与えてくれる、という感謝の思いで生きていたのでしょう。ドングリは栄養豊富でデトックス効果もあるとされています。現代人も食べた方がいいかもしれません。

・祈りや祀りを大切にしていた
 土偶や石棒も祈りの対象と言われています。心を乱す低俗な文化がなく、祈りや祭中心の波動の高い民族だったのでしょう。

・火焔型土器で水にパワーを転写し、波動を高めていた
「火焔型土器は煮炊きに使っていた」という説もありますが、バランスが悪いデザインですし、縄文人は作ろうと思えば注ぎ口付きの土器など実用的なアイテムも作れるので、わざわざデコラティブにしたのは理由があるように思います。私の推測ですが、土器の中に火や水、風、土、空などのエネルギーを表現しているのではないかと思います。そして土器に入れた水などにエネルギーを転写できるのではないでしょうか。縄文人は目に見えないエネルギーを使えていたのかもしれません。

・宇宙人と交流していた
 これは「遮光器土偶」の宇宙服のようなデザインや、土偶「縄文の女神」の未来的な佇まいからもよく言われている説です。平和で良い波動を放っている縄文人なので宇宙人たちも安心して接触できていたのではないでしょうか? そして様々な知恵を授けてくれたのだと思います。弥生人が入ってきて争いが起こり、治安や人々の心が乱れると、宇宙人は去って行ってしまったのではないかと推察。

 こうやって書いているだけでも縄文時代が恋しく、弥生人への積年の思いがこみあげます。そして煩悩にまみれて堕落してしまった現代人として不甲斐ないです。せっかく平和な心になりかけたのに悶々としてきました。ということで、ピースフルになるために縄文マインドを感じるイベントに行ってみようと思います。
 
(第14回へつづく)

辛酸 なめ子Nameko Shinsan

東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。芸能界やスピリチュアル、オカルトなど多数のジャンルを独特な目線で描き人気を博す。『辛酸なめ子の現代社会学』『大人のコミュケーション術』『おしゃ修行』『魂活道場』など著書多数。

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