双葉社web文芸マガジン[カラフル]

おしゃ修行 / 辛酸なめ子・著

第1回 クローゼット整理術(前編)

 心の隙間を埋めたい時、テンションをあげたい時は服を買うのが効果的。疲れている日こそフラフラとセレクトショップに引き寄せられ服を買ってしまいます。お店の人に「かわいいですね~(服が)」とセールストークされると一発です。服欲はおさまるところを知りません。でも、ベストセラー「フランス人は10着しか服を持たない」(大和書房)を読むと、おしゃれ先進国フランス人は、上質な服を少ない枚数で着回しているそうです。著者のジェニファー・L・スコット女史はカリフォルニアからフランス貴族の家にホームステイし、そこでワードローブを厳選するライフスタイルを学びました。
 本によると、ワードローブ整理のためのチェック項目は、「この服はまだ気に入っている?」「この服はちゃんと着ている?」「この服のサイズはまだぴったりで、ちゃんと似合っている?」「この服は、いまのわたしらしいと言える?」という点。こんまり(近藤麻理恵)さんの片付け術の本と共通している部分がありますが、二人とも世界中で本が売れまくっていることを考えると、クローゼットを整理する開運効果はあきらかです。
 10着まで減らすのは難しいですが、できるだけミニマルな服生活を心がけ、風水効果も狙いたいです。ということでクローゼットの夏服を整理してみました。本に書いてあった項目を念頭に、いらない服を判定。
 そして今回選んだのは……
 イランイランの白いタイトスカート(キルティング生地が着心地良かったのですが、よく見たらシミの気配が)、リリー・ブラウンのピンクのレース製トップス(ガーリーでかわいいのですが、着ることはできても脱ぎにくいサイズ感)、同ネイビーのドットスカート(オーガンジーにドットでおしゃれでしたが、青に近いネイビーで合せるのが難易度大)、同グリーンのカーディガン(着てみたら丈が短すぎ)、同ブルーのトップス(体にフィットするデザインで痩せて見えますが、襟ぐりが開きすぎて下着を考えるのが面倒)、同イエローのサマーニット(なぜか顔色が悪く見える)、アーバンリサーチのギンガムチェックタイトスカート(なぜか視界に入るとテンションダウン)、同グリーンのブラウス(袖がレース状で一見おしゃれ。でも作業着っぽいデザイン)、クローラのベージュキュロット(丈が短すぎて周りの人に申し訳ない)、ナバアサナのピンクのワンピ(シャツワンピで着やすい。でも数年間存在を忘れていた)、ビューティフルピープルのシルク製ブルーのブラウス(素材は上質だけれど肩幅が合っていない)、KaonのTシャツ(リボンがたくさんついていてかわいいけど、最近あまり見かけないブランド)、適当に買ったガウチョパンツ(今思うとダサい系のブランド)など、14着。
 今までありがとうございました×14。ハイブランドじゃないですが買い値は1万円前後した服たちです。売ったらいかほど位でしょうか。最近古着屋の買い取り価格がどんどん渋くなっている気がしますが、一着100円くらいにはなってほしいです。
 店員になめられないように、というか少しでもおしゃれっぽく見せ、良い服を売りに来たと思わせるために、sacai(3年位前のデザイン)の服を着て渋谷へ向かいました。しかしこの日、夢見が悪かったうえ、朝からパソコンがフリーズしたり、マンションのゴミ捨て場の横で黒い毛虫が這っているのに遭遇したりして(遠目にゴキブリだと思ってよく見たらうねりつつ起毛が……)、不吉な予感がありました。でも、大荷物を持って渋谷まで来てしまったので後には引けません。

(つづく)

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辛酸なめ子Nameko Shinsan

漫画家、コラムニスト。1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。芸能界やスピリチュアル、オカルトなど多数のジャンルを独特な目線で描き人気を博す。著書に『女子の国はいつも内戦 (14歳の世渡り術) 』(河出書房新社)『皇室へのソボクな疑問』(竹田恒泰氏と共著/扶桑社)『アイドル処世術』(コアマガジン)『諸行無常のワイドショー』(ぶんか社)など多数。

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